
クロノスエコー/サウンドトラック
小説にサウンドトラック。
映画にあるなら、小説にもあっていい。
小説の世界観を纏ったプレイリストも一緒に楽しめる、
新しい小説のカタチ。
あらすじ
2034年、『三津木 航 (Mitsuki Ko)』は東京の中野ブロードウェイで小さなアンティークショップを営んでいた。彼女は古美術商であり歴史学者。危機管理コンサルティング会社から古代遺物の調査を依頼された三津木は、その依頼主が米DARPA(国防高等研究計画局)であることを知る。古代遺物はチベット仏教の僧侶たちが時の概念を理解するために使っていたものだと知る。プロジェクトに深く入り込むうちに、彼女はDARPAの暗い秘密を暴き、古美術商だった父の謎めいた失踪事とDARPAに深い関係があることを知る。深いトラウマと葛藤を抱いた三津木は、真実への渇望を抑えられなくなっていく。三津木と仲間たちの調査が進むにつれ、彼女は政府を通過する危険な法案、誘拐、チベット仏教に絡む陰謀の網を発見する。三津木は人類の未来に甚大な影響を及ぼす重大な決断を下しながら、自らの信念や価値観と格闘する。この物語は、野放図な科学進歩の危険性や、危機的状況における倫理的意思決定の重要性といった社会問題を探求、それが人類に与える影響について深い気づきをもたらす。
第一章:ささやく時間
アンティークショップの隅にある奥の部屋で、過去の遺物と静かな時間を共にしていた。ひび割れた革の装丁が歴史の重みを物語る。朝の光が小さな窓から、部屋の整然とした、しかし散らばった工芸品に優しく触れていた。深いため息をついた三津木 航(みつき こう)は、数年前に父が残した、色あせた言葉に指をやさしく滑らせた。彼の失踪から10年が経ち、その痛みはいまだ鮮明で、癒えぬ傷のように彼女の心に残っている。 父の、発見への温かな知恵と熱い情熱が懐かしかった。彼女は終わりのない癒えぬ傷に終結を望み、答えの一欠片を求めていた。しかし、真実はいつも手の届かないところにあった。果てしない真実の探求が、彼女を待っているのだろうか。 店のドアが開く音が響き、三津木は父の日誌を書類の下に素早く隠した。カーテンを押しのけ、表のカウンターへと歩みを進めると、見慣れない男が店内を伺うように立っている。
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第二章:導くピース
三津木は契約書の重さを手に感じながら、東京の賑やかな街を歩いた。彼女の心は、疑問と疑念の渦に巻き込まれていた。この仕事を引き受けることで、一体何に巻き込まれるのだろうか?
彼女は深いため息をつき、自分の思考を整理しようと街角で立ち止まった。これは単なる遺物の問題ではない。数年前に何が父に起こったのか、その真実を突き止める必要があった。DARPAのために動くことが、その真実を探る唯一の方法ならば、彼女はそれを受け入れるしかなかった。彼女は決意を固め、背筋を伸ばした。リスクは高いが、彼女はいつものように真実に向かって直進する決意を新たにした。やるべき仕事がある。目的を持って進む彼女の一歩は、意志の強さを映し出していた。
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